PhotoroomとPixelcutを比較！EC向けのツールはどっち？

毎月数十点の新商品をECモールで出品する個人販売者が、商品ごとに数枚の画像、SNSコンテンツ・広告を制作する場合、効率的に作業が行えるのはどの写真編集ツールでしょうか。

この記事では、EC事業効率化の観点からAI写真編集ツール「Photoroom」と「Pixelcut」を比較します。自分のビジネスモデルに合うツールを探しているという方は、ぜひ参考にしてください。

PhotoroomとPixelcutの比較 

詳細に入る前に、両ツールの概要を簡単に見ておきましょう。

Photoroom－EC向けAI写真編集ツール

Photoroomは、商品販売者やEC事業者向けのAI写真編集ツールです。 

• 対象ユーザー： ECサイト・モール出品者、直販メーカー

• 主な目的：商品写真の迅速かつ一貫した編集

• 強み：商品写真向け高速AI編集ツール・様々なECサイトへの対応

Pixelcut－AIコンテンツデザインツール

Pixelcutは、コンテンツクリエイターやビジュアルストーリーテラー向けのクリエイティブツールキットとして位置付けられています。 

• 対象ユーザー：コンテンツクリエイター、SNSマネージャー、デザイナー

• 主な目的：注目を集める印象的なコンテンツ制作

• 強み：芸術向けAIツール・デザインの柔軟性

一括処理と作業効率

定期的に複数の商品画像の編集が必要な場合、一括編集機能が利用できると便利です。 

Photoroomの一括処理機能 

一括編集機能を使えば、異なる商品画像に同じ編集設定を一括適用できます。 

この機能を使って、50枚の商品写真をたった数分でAmazonに掲載可能な状態へ変換する方法を見てみましょう。

• 商品写真50枚をアップロード

• Amazon専用背景除去ツールで全画像の背景を削除

• 白い背景を追加

• 明るさ・影設定を一括適用

• 編集済み画像を一括エクスポート

Pixelcutの一括処理機能

最近のアップデートでAI背景処理に一括編集機能が追加されましたが、基本的には画像一枚一枚のデザインにこだわりたいユーザー向けの単一画像編集用ツールです。

一括編集ならPhotoroomが便利

新着商品を定期的に撮影する場合や、商品数を増やして事業拡大を目指す場合、Photoroomの一括編集機能を活用すれば大幅な時間短縮が可能です。

AI機能

どちらのツールもAI機能を備えていますが、対象ユーザー層と目的が大きく異なります。

Photoroomの商品写真向けAI機能

• 使用場面の生成：スパ空間を背景にしたスキンケア商品や、朝日が差し込むキッチンのテーブルに置かれたマグカップなど、商品の使用場面をイメージした画像を簡単に作成できます。

• バーチャルモデルツール：販売する衣類の写真をアップロードするだけで、バーチャルモデルが商品を着用している画像を作成できるため、モデル料金や撮影手配が一切不要です。

• パッケージ生成：商品パッケージのモックアップが必要な場合、リアルなパッケージデザインとパッケージに入った商品の3Dモックアップを生成できます。

• リアルなAI背景： AI背景生成ツールは、あらゆる商品カテゴリーの屋内外の使用場面に対応した背景を生成します。

その他のEC向けAIツール・機能には背景除去ツール、高画質化、サイズ調整機能などが含まれます。

Pixelcutのデザイナー向けAI機能

PixelcutのAI機能はEC向けではなく、顔やキャラクター、アニメ、壁紙などの生成ツールを備えています。

• デザインモデル：デザイン作業や芸術コンテンツ、ビジュアルコンセプトなどに適したFlux Ultra、Flux Pro、Imagen 3、Ideogramなどのモデルを統合しています。 

• キャラクター＆アニメ生成：オリジナルキャラクターの生成、既存キャラクターの修正、動きの追加が可能です。コンテンツクリエイターやゲームデザイナーがマスコットやキャンペーン素材を制作できます。

• 動画生成: シーンを記述したプロンプトや画像をもとにプロ品質の動画を制作できるツールです。 

• テキストから動画生成：テキストから直接動画を生成できるため、従来の動画制作作業なしでSNS用などの動画コンテンツを素早く制作できます。

両ツールを使ってオフィスにあるハンドバッグの写真を生成しました。Photoroomでは、プロンプト不要の使用場面生成ツールを使用しました。

Pixelcutには同様のツールがないため、背景生成ツールで試してみました。それぞれ以下の画像が生成されました。

PhotoroomのAI機能はEC向け

PhotoroomのAIツールは、単に商品写真の見映えを良くするのでなく、撮影や編集にかかるコストと時間を節約し、ECサイトで注目を集める画像を作成します。

テンプレートと出品先・投稿先要件への対応

AmazonやEtsyの商品画像ガイドラインはそれぞれ異なり、SNS投稿もサイズが決まっているなど、プラットフォームによって画像の要件は違います。自動的に背景変更やサイズ調整ができるツールがあれば便利だと思いませんか？

Photoroomのテンプレート

モバイルアプリとWeb版 のテンプレートは、テキストやデザイン要素が含まれる場合でも、商品が画像の主役になるようデザインされています。

PhotoroomのテンプレートがECに便利な理由を以下にまとめました。

• ワンタップ置換：各テンプレートには商品専用ゾーンがあり、商品の位置と表示サイズが決められています。テンプレートを選択したら「置き換える」をタップするだけで、商品写真が最適な位置に自動配置されます。

• 商品第一のデザイン：Photoroomのテンプレートの背景やデザイン要素は、商品を引き立てるようにデザイン・配置されています。

• プロモーション要素：新着商品、セール、割引などを告知する要素が含まれているため、テンプレートを選択して商品画像を差し替えるだけで、自動的にプロモーション要素と統合されます。

• プラットフォーム要件に対応：テンプレートは異なるECプラットフォーム用にデザインされているので、正方形の写真もサイズ要件に合わせて自動調整されます。

• 季節・テーマ別カテゴリー：バレンタインデーや母の日など、様々なイベントに合わせたオプションや、化粧品、食品、靴、インテリア、ウェディング商品など、異なる商品カテゴリーをテーマにしたテンプレートが用意されています。

Pixelcutのテンプレート

Pixelcutは、デザインの柔軟性を重視したインパクトのあるテンプレートを数千点提供しています。

• ユーザー作テンプレート：テンプレートにはユーザーがデザインしたものも含まれており、人気クリエイターによるトレンドを反映したテンプレートを活用すれば、注目を集めるSNSコンテンツが制作できます。

• デザインの柔軟性：商品画像やテンプレート内の要素のサイズ変更、位置調整、修正を行い自由に構図をアレンジできますが、高度なデザインスキルが必要となる場合があります。 

• SNS用のデザイン：SNS向けのテンプレートは、エンゲージメント率や話題性の向上に焦点を当てているため、ブランド認知度アップを目指す場合などに役に立ちます。

• 実験的アプローチ：複数のテンプレートを組み合わせ、様々なスタイル、エフェクト、構図を試してカスタマイズし、独自のコンセプトを反映させたテンプレートをデザインできます。

• トレンド対応：テンプレートライブラリは定期的に更新され、SNSのトレンドスタイル、季節、人気のデザインを反映したテンプレートが追加されます。

両ツールの主な違いは、Pixelcutではユーザーがテンプレートのデザインに合わせて商品画像の配置などを調整するのに対し、Photoroomではテンプレートが自動的に商品を引き立たせるという点です。

両ツールを使って、同じ商品写真をEtsy出品用に編集してみました。Photoroomでは「Minimal Shop」テンプレートを使用し、Etsyが指定する正方形サイズに変更しました。

PixelcutではSNSで注目を集めそうなテンプレートを利用できましたが、画像をEtsyで使用するには、背景除去、背景色やサイズの確認などを手作業で行わなければなりませんでした。

PhotoroomのテンプレートはECに特化

複数のプラットフォームで出品する場合、Photoroomを活用すれば、それぞれのガイドラインに沿った商品画像を手間をかけずに作成できます。 

出品商品の画像を作成

テンプレートを使えば、ECモールで目を引く商品画像が数クリックで完成します。 

Photoroomを試す

一貫性・統一感

異なるECサイトやSNSでブランドが認識されるには、商品画像の一貫性を保つことが重要です。画像編集ツールには、一貫性の維持に役立つものも、手作業でスタイルを統一しなければならないものもあります。

Photoroomのブランドキット

複数の製品ラインやECプラットフォームで一貫したビジュアルを維持したい場合、ブランドキットが便利です。

• 集中型ブランド管理：ロゴ、カラー、フォント、スタイル設定を一元管理し、写真編集時にブランド要素が簡単に適用できます。

• 統一感のあるカタログ：ECサイトやプラットフォーム上の全商品画像に同一の背景処理、明るさ設定、影スタイルを適用することで、統一感のある商品カタログを作成できます。

• テンプレートの一貫性：編集内容をテンプレートとして保存すれば、商品画像を投稿先のフォーマットやスタイルに合わせた後、ワンクリックで同じ設定を適用できます。

• ブランド素材の自動更新：ブランドキットを更新すると、全テンプレートと保存済みの設定に自動的に反映されます。

• 品質管理：スキルレベルが異なるユーザーが共同で作業を行う場合でも、ブランドキットのシステムが保存内容をもとに誘導してくれるので、一貫性を確保できます。

Pixelcutのグループ化による一貫性の維持

Pixelcutでは、ブランド管理システムではなく、プロジェクト管理とデザインコレクションを通じて統一感を維持します。

• デザインコレクション：テーマ、製品ライン、キャンペーンごとにコレクションを作成し、新しいコンテンツの制作時に参照できます。

• 手作業によるデザインの統一：デザイン要素や色、スタイルの適用はPixelcutでは手作業になるため、自由にアレンジできます。

• テンプレートのお気に入り登録：ブランドイメージに合ったテンプレートをお気に入り登録し、異なるプロジェクトに適用できます。ただし、色やフォントなどは手作業での調整が必要になります。

• プロジェクトベースのデザイン：特定のキャンペーン、季節、コンセプトに基づいてブランド要素を柔軟に適応させられます。一貫性よりもバリエーションを優先する場合に効果的です。

統一感を追求するならPhotoroomが効率的

Photoroomの専用ブランド管理システムを活用すれば、異なるECプラットフォームで使用する複数の商品画像に一貫性を持たせて、ブランドの信頼性や認知度を高めることが可能です。デザインの柔軟性を重視する場合は、Pixelcutのコレクションベースのブランド管理が便利ですが、信頼性・認知度の向上には多くの手作業が必要になります。

モバイル版の機能

モバイルデバイスでツールを使用できると、移動中や空き時間に編集が行えるので効率的で便利です。

Photoroomのモバイルアプリ

• 全機能対応：一括編集、ブランドキット、テンプレートなど、Web版で使用できる機能はすべてモバイルアプリでも使用できます。

• 効率性を重視：背景除去、一括処理、サイズ調整など、ユーザーが頻繁に使用する機能に素早くアクセスできます。

• 作業の継続：デバイス間でプロジェクトが同期されるため、パソコンからでも、モバイルデバイスからでも編集を開始・続行できます。

• 一括処理： AI写真編集アプリの多くは一括処理機能を備えていませんが、Photoroomのモバイルアプリでは、スマートフォンに保存されている写真を一度に複数アップロードし、まとめて編集できます。

Pixelcutのモバイルアプリ

タッチ操作は簡単で反応が良く、AIツールもモバイルデバイスで完璧に機能します。また、アプリで編集した画像を直接SNSなどで共有できるため、コンテンツクリエイターやインフルエンサーなどにとって便利ですが、Photoroomの方が操作しやすく感じました。下の画像は、各ツールのモバイルアプリ（トップページ）のスクリーンショットです。  

モバイルアプリは両ツールとも優秀

両ツールともモバイル版の性能が優れていますが、対応するニーズがそれぞれ異なります。デザインの柔軟性を優先するならPixelcutを、効率性を重視するならPhotoroom を選ぶことをおすすめします。

価格設定と事業拡張

ツールの有料版を使用する場合、プロジェクト数ではなく、ビジネス規模に見合った料金プラン検討しましょう。

Photoroomのビジネス向け料金体系

ビジネスニーズと利用量に応じた明確な料金体系を採用しています。

• 無料版：月間250回のエクスポート、背景除去ツール、基本テンプレート、消しゴムツールの利用が可能。ツールを試してみる場合や、軽い編集におすすめ。

• Pro（月間¥1,500／年間¥9,900）：透かしなしの高解像度画像の無制限エクスポート、最大50枚の画像の一括編集、自動サイズ調整、全AIツール（背景、影、使用場面生成、バーチャルモデル）、ブランドキットが利用可能。ビジネス向け。

• Teams（ユーザー3人で年間¥9,900）： Proプランの全機能に加え、コラボレーション機能、共有デザイン・共有テンプレート、リアルタイム編集が利用可能。チームメンバーを追加する場合はユーザー1人あたり年間9,900円。ProユーザーがTeamsプランへ移行すると、無料で2人のユーザーをプランに追加できます。

• API：月に千枚以上の画像を編集する場合、PhotoroomのAPI連携が便利です。月額20ドル（画像1枚あたり2セント）で利用開始可能。年間10万点以上画像を処理する場合は、営業チームに連絡してカスタム料金プランを組みます。

Pixelcutのクリエイター向け料金体系

GPUクレジット制を採用しているPixelcutでは、ユーザーはサードパーティパートナーの高度なAIモデルを使用する際クレジットを消費します。基本的な編集にはGPUクレジットは不要ですが、最新のAI生成機能を利用する場合など、使用する機能によってコストが大きく変動する可能性があります。

• 無料プラン：背景除去やマジック消しゴムなどの基本編集ツールが利用可能。使用制限・透かしあり。

• Pro（月間$10／年間$96）：月間600クレジットのプラン。全AIツールへの無制限アクセス、一括編集機能と編集画像の商用利用が可能。

• Pro+（月間$30／年間$288）：Proプランの内容に加え、サードパーティパートナー提供の高度なAIモデルやその他のAI画像生成ツール用の3000 GPUクレジット付き。

• Max（月間$60／年間$576）：高度なAIモデルを多用するユーザー向けの9000 GPUクレジットプラン。全プレミアム機能への無制限アクセスと、要求の厳しいデザイン業務の優先処理が可能。

ビジネスの成長を目指すならPhotoroomのプランがお得 

事業拡大を目指すユーザーにとって、定額制でビジネス向けの機能を含むPhotoroomの有料プランはクレジット制の料金プランよりもお得です。

コラボレーション機能と素材管理

個人販売者でも、商品写真の撮影やコンテンツ制作を支援するチームメンバーが必要なときがあります。その場合、ツールを選ぶ際は共同作業のしやすさに注目することが大切です。

Photoroomのコラボレーション機能

PhotoroomのTeamsプランは、成長中のビジネスをサポートします。

• 役割ベースのチーム管理：プロジェクト全体の管理を担当するメンバーや、特定の作業のみを行うメンバーなど、責任範囲に合わせた役割と権限を定義してチームメンバーを招待できます。

• 素材やコンテンツの共有：チームメンバー全員がブランドキット、テンプレート、作業内容にアクセスできます。

• テンプレートと素材で一貫性確保：ブランドテンプレートや素材を作成することで、デザイン経験・スキルレベルに関係なくチームメンバー全員がデザインの一貫性を維持できます。

• タスクの割当：特定の商品やキャンペーンをチームメンバーに割り当て、全体の進捗状況と品質を管理できます。

• リアルタイム共同作業：作業の同時進行、リアルタイムのフィードバック共有や修正・調整により、コンテンツ制作サイクルの加速が可能です。

ビジネスの成長に伴うチームの拡大が簡単で、作業工程の再構築を必要とせず、新しいチームメンバーが既存のプロセスに即座にアクセスできます。

Pixelcutは個人クリエイター向け

Pixelcutは、柔軟性を求め単独で作業を行うクリエイター向けのツールです。チームで作業を行う場合、使用するアカウントにメンバーを招待して編集を許可できますが、専用のコラボレーション機能がないため、チーム調整やメンバー同士の情報共有、品質管理などはプラットフォーム外で行うことになります。

共同作業に適しているのはPhotoroom 

共同作業がスムーズに行えるTeamsプランで、事業拡大後も一貫した品質基準の維持が可能です。

ツールの使用例

ニーズに合ったツールを選ぶ

ビジネスモデルと主な使用目的に合ったツールを選ぶことが重要です。

Photoroomが適している場合

• 10枚以上の商品画像を定期的に処理する

• Amazon、Etsy、Shopify、eBayに出品する

• ECプラットフォーム対応の一貫性のある画像編集が必要

• 商品ラインの拡大を計画している

• 共同作業（または将来的に計画している）

• デザインの柔軟性よりも効率性を優先する

Pixelcutが適している場合

• SNSマーケティングに重点を置いている

• ユニークで芸術的なプロモーションコンテンツを制作する

• クリエイティブプロジェクトを主に単独で進める

• 一貫性よりもデザインの柔軟性を優先する

• 編集ニーズが不定期

商品画像の編集ニーズを一元管理

ECチームと連携し、出品商品の画像を数分で作成・編集できます。

Photoroomを活用する

翻訳／太田晶子